「ゴッドノウズ!」

「流星ブレード!」

「ノーザンインパクト!」






「はぁ、はっ…」

「くそっ…」

流れ落ちる汗を拭って染岡が舌打ちをする。
こちらのシュート技は悉く円堂に止められてしまう。円堂は白けた表情でボールを手の中で転がし、溜め息をついた。


「なぁ、お前ら本気でやってる?準備運動にもならないんだけど」

「…っ」


ここに来て初めて円堂の変貌にショックを受けた様子のフィディオが悲しげな表情を浮かべる。


「ねぇ、マモル…本当に忘れてしまったのかい?君の素晴らしいサッカーを」

フィディオの言葉にエドガーが鼻で笑い、円堂は面倒臭そうにフィディオを見た。


「素晴らしいサッカーって何だよ」

「え?」

「サッカーなんて皆一緒だろ。ボールを蹴ってシュートを打つ。キーパーはそれを止める」


円堂はそう言って、フィディオの前にボールを放った。

吹雪や木暮、風丸は動かない。


「何が素晴らしいのか…教えてくれよ、フィディオ」

「マモル…」

フィディオは足元のボールに視線を落として、再び顔を上げた時にはもう迷いはなかった。


フィディオがボールをゴールに向けて打つ。それを円堂は軽く受け止めて、すぐにフィディオにボールを放る。

まるで、大人が子供と遊んであげているかの様に何度か繰り返す…。




「オーディンソード!!」

「マジンザハンド!!」




「くっ…」


「その程度か」

円堂は微かに笑ってボールを風丸へと渡した。


「…飽きた」

円堂の言葉に風丸が無言で頷く。
もうシュートを打たせる事もさせるな…そういう事なのだろう。

風丸がボールを上げる。成神や佐久間を難なく抜き去り、晴矢へとボールを繋げた。


晴矢がチラリと逆サイドの豪炎寺へと視線を向けた後、ボールを高く上げた。
皆の視線がボールへと向かう…右側から晴矢が、左側から豪炎寺がゴールを背に飛び上がり、身体を捻りつつお互いが踵でボールを蹴り付けた。


「フレイムショットォッ!!!」


「!!?」


立向居は技を放つ間もなくボールと共にネットに叩き付けられた。


スタッと地面に降り立った二人。
豪炎寺は何事もなかったように自陣へもどり、晴矢は馬鹿にするような笑みを浮かべている。


「バーンと豪炎寺の連携技…だと?」

染岡は唖然とした表情を浮かべ、飛鷹は難しい表情を立向居へと向けた。
立向居はゴール内に転がるボールをそっと持ち上げた。


「凄い威力だ…」


得点差は広がるばかり…本当に俺達は勝てるのか、

いや、


勝たなくてはいけない。
円堂達を救う事が出来るならば、必ず勝たなければ…、





アフロディがボールを上げるが緑川がそれを奪う。

「っ…」


すぐに取り返そうとしたが、緑川の前にヒロトが立ちふさがり更に風介も加勢に向かう。



「…………」

緑川は一瞬だけ動きを止めてすぐに晴矢へとボールを回した。


「……?」


アフロディが事の流れを立ち止まって見ていると風介が声を上げた。


「照美!何をしているんだ、早く下がれ!」


「あ、うん」


アフロディは頷いて動いたが、頭ではある可能性を考えていた。



彼は…もしかしたら、








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