「ねぇ、エイリア…というか、お日さま園ってどんな感じなの?」

練習の合間、前から気になっていた事を訊ねてみる。すると、南雲くんと涼野くんは訝しげな表情で僕を見た。

「何でそんな事を聞くんだ?」

涼野くんのその問いに首を傾げる。だって、気になるじゃない。

「宇宙人のふりをさせられる子供たちがどんな気持ちだったのか知りたくて」

「ムカつくな、お前」

「やだなぁ、喧嘩を売っている訳じゃないよ?」

ギリッと歯軋りする南雲くんに笑いかければ、軽く溜め息をつかれる。
頭をガシガシと掻きながら「別に…」と、質問に答えてくれた。

「普通だよ。宇宙人のふりっつっても皆、大して変わらな………あ」

何かを思い出したのか、ピタッと動きを止めた南雲くん。そんな南雲くんをチラリと見る涼野くん。


「…一人いたな。無理してた奴が」

「緑川だな」

「緑川…くん?」

確か日本代表にいたような…あの子もエイリアだったんだ。

「どんな宇宙人だったの?」

「どんなって…あいつが一番目立ってただろう」

「レーゼだ」

「レーゼ!?」

レーゼってあの一番最初に来た宇宙人だよね?
テレビで見たけど…

「あんな可愛い子がレーゼなんて…」

「可愛い…?」

「緑川が可愛いかどうかは分からないが、本人はかなり頑張ってキャラを作っていたらしい」

「普段の緑川の性格だと、どう見ても地球を征服しにきたチームのキャプテンには見えないからな」

「頑張ってたんだ…」

何その子、やっぱり可愛い
ちょっと気になるなぁ

後は基山くんとか砂木沼くんとかの話を聞いたけど、どうでも良い。
とりあえず、緑川くんに会いたいなぁ…決勝戦が楽しみだよ






「バーン…ガゼル…?」

韓国代表として現れた僕達にIJの皆が驚き、特に基山くんと緑川くんは目を丸くして南雲くん達を見てる。

やっぱり可愛いなぁ、緑川くん


「…?」

僕がジッと見つめるのに気付いたのか、緑川くんがこちらを見て首を傾げる。

「何…?」

「君…可愛いね」

「は?」

「おい、照美」

南雲くんが僕を呼ぶ。何だよせっかく初コンタクトがとれたのに。

「余計な事考えんな」

余計な事って何さ、

南雲くんに肩を竦めて見せ、緑川くんに笑顔で軽く手を振って韓国のチームの所に戻る。


「お前…狙ってるな?」

戻りながら、涼野くんがジトーッとした視線を向けてくる。やめてよ、興奮しちゃう。

「だって、気にいったんだもの」

「…可哀想に」

誰を哀れんでるかは知りませんけど?せっかく見付けた天使を見逃すなんて、神のする事じゃないよねー、





試合は…結果としては僕達は負けてしまったけど、勝負には勝ったね。

緑川くんはどうやら代表から離脱するらしい。喜ばしい事ではないけれど神は僕に味方したようだ。

間違った。神は僕だった。


緑川くんは病院にいるらしいという事を聞いて、早速向かう。

入り口で待ち伏せ…じゃない、ちょっと待ってたら緑川くんと吹雪くんが来た。

「やぁ、緑川くん」

「げっ…」

僕の顔を見てそんな反応をしたのは君が初めてだよ、

「あれ、アフロディくん」

吹雪くんが「どうしたの?」なんて聞いてくるけど、答えてる暇なんてない。

「緑川くん、僕とお友達になろうよ」

「嫌だ」

即答なんて傷付くなぁ、

「バーンとガゼルから、お前には気を付けろって言われてる」

あの二人…余計な事を、


「僕、空気扱いなんてされたの初めてだよ」

うん、吹雪くんちょっと黙っててくれるかな?


「一緒にサッカーをやれば友達だって、君たちのキャプテンが言ってたよ」

「アフロディくん、友達であるはずの僕は君の仕打ちに酷く傷付いてるよ」

「いい加減にしてくれないかな、吹雪くん?僕は緑川くんと話をしてるんだ」

「僕は染岡くんに会えないというのに、目の前にリア充が現れたら全力で潰すしかないでしょ?」

「馬に蹴られちゃうよ?」

「馬より、ドラゴンに蹴られたい(性的な意味で)」

「その願い、叶うと良いね(物理的な意味で)」


「……怖い」

笑顔で会話をする僕たちに緑川くんが少し引いてる。

「ねぇ、緑川く…」

「やっぱりここに居た!」

「……」

改めてデートにでも誘おうとした僕の言葉を遮る声。

振り返ると、怒ってるような南雲くんと呆れた表情の涼野くんが近づいてくる。

「ちょっと、邪魔しないでくれる?」

「お前の悪行をみすみす見逃せるか」

「人聞きの悪い」

「すまんな緑川…と、吹雪だったか」

「すぐ連れて帰るからよ」

そして、南雲くん達に両腕を拘束されて引きずられる。

今回は諦めるか、


「緑川くーん、また会いに行くからね」

「来なくて良い!」

「行かなくて良い!」

「染岡くんに会いに行きたい」



とりあえず、緑川くんの前に周りからどうにかしなきゃいけないのかなぁ、


これから忙しくなりそう♪





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