焔に溺れる | ナノ



呆然とした。頭の中は真っ白というより真っ暗だった。信じて疑わなかったものが今、地獄の業火によって塵と化した。私の上に跨っているこの男のせいで、



「あーあ、つまんねェの」


「・・・・・・っ、・・・」


「ンだよその目、まだやろうっての」


「・・・うる、さい」


「ハッ、よく言えたもんだなァ?今俺に負けたばっかりなのに」


「うるさい!」


「ふーん・・・今の状況分かってんの?なまえちゃんさァ」


「・・・名前、呼ぶな」


「へえ?俺に名前呼ばれるの、ヤなの?なまえ」


「・・・・・・最低」


「今更。で?」


「・・・なに」


「俺の部下になるか・・・コレ、火口に落とされるか。どっちがいい?」


「!!まさかそれ」


「いつの間にって顔だな」


「やめて!」


「俺は、どっちがいいかって聞いたんだよ」


「・・・・・・・・・そんな・・・」


「10秒以内に。じゅー、きゅー、」


「なっ」


「はち、なな、ろくごよんさん」


「!!」


「にいち、」


「なるから!なる、から・・・やめて」


「何になるって?」


「・・・え?」


「は?日本語分かんねェの?」


「・・・・・・、アンタの・・・部下に、なる」


「アンタじゃねェだろ」


「っ・・・ホムラ様」


「よくできました」





コツ、と私の顔の真横にボールを置いてアイツは笑った。反吐がでるような笑いだ。それでも私の上司になった、この男に勝てなかったのだ。私は。無遠慮に頭を撫でられても嫌悪すら感じなかった。何もかも根こそぎ奪われた気分だ。そんな私に、唇が触れそうなくらい顔を近づけてきてホムラ様は言った。



これでお前は俺のもの



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