My little red | ナノ



分厚いファイル、ノート、筆箱。
順々に鞄に荷物を詰めて、肩にかける。



「あれ、ナオもう帰んの?」


「うん、なんか頭痛いから帰る」


「それ先週も聞いたけど、まぁお大事にー」



呆れ顔の友達に手を振って教室の扉を後ろ手に閉める。
私がこういう風に学校を早退するのは少なくないから、友達は皆あんまり咎めない。
ほぼサボりに近いから心配するだけ無駄ってことだ。
まあ、今日はほんとに頭痛い(ような気がする)んだけど。


まだ日も高い中一人で静かな階段を降りていると変な気分になる。
皆は授業をしているのに、一人だけ帰れるという優越感と少しの罪悪感。でも、もう慣れた。
階段を下りながらこれからの予定を考えていたけど、なんだか本当に頭痛がしてきたので家までゆっくり歩いて帰り、着いたらすぐに寝てしまおうと考えていた。
なんかプリントとかあったけど、放棄しよう。それよりも頭痛いし。
そう思っていた矢先、考え事をしていたのが悪かったのか、階段を踏み外してバランスを崩す。


あ、と思ったときには遅くて、気付いたときには体は空中に放り出されていた。
私はそのまま重力に従って落ちた。



普通に死んだと思った。大げさだけど、段差が結構高かったし受身もとれなかったから。なのに浮遊感はすぐに終わって私は固い地面に投げ出された。
あれ、思ったより痛くない・・・
というか、地面?



「・・・え、」



急いで体を起こし顔をあげ、私は周りの光景に目を見開いた。
薄暗い地面に高くそびえる岩壁。まるで、というよりもはや洞窟だった。
学校じゃ、ない・・・?




これがはじまり



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