*土御門さんが若干変態くさいです
それば穏やかな昼下がりだった。
ほのぼのとした時間を裂くように、携帯の着信音がけたたましくなり始めたのだ。
『―――土御門元春―――』
土御門?いったいなにようなのか。
などと思いながら、携帯をみみにあてた。
「土御門さん土御門さん。こんな穏やかな日にいったい何のご用事で?」
あまりの心地よさに眠気が差し掛かっていた時の事だったので、私の声は若干不機嫌モードだった。
「とにかく俺の部屋まで来てくれ!!カミやんが大変なんですたい」
「…………は?」
いいか、急いでこい、と告げると乱暴に通話を切った土御門。
こっちの用事は無視かよっ!って叫びそうになったが、実際暇であるのにはかわりないし、なんかよくわからないけど上条が大変らしいし…。
「いくか…」
「あ、名前おそいにゃーー!」
土御門の部屋のドアを開けると、間髪いれずに土御門がいう。
「ってか、上条がなんか関わってるなら上条の部屋いこうよ。」
隣なんだし、と、上条の部屋へ向かおうとすると土御門に腕を引かれて部屋へ戻されて座らされた。
「え、え?」
「まぁ落ち着け名前。そして落ち着いた上で聞いてくれにゃー」
ずいっと顔を寄せて言うものだから、なにも言わずに頷いた。
「とりあえず、カミやんがヤバイらしいぜよ。これは、名前がメイド服でカミやんに1日奉仕するしかないにゃー」
効果音がつきそうなほど笑顔でいう土御門に対して、私はひたすら唖然としていた。
いま、こいつはなんといった??
メイド服?1日奉仕?
私が?
「…………、帰るわ」
「ちょ、ちょっと待つにゃー!名前はカミやんを見捨てていくのか?名前なら助けられるのに」
「そんなわけないでしょー。だいたい、仮に私がそうして何になるっていうのよ」
あまりのしょうもなさにため息がもれた。
「でもよく考えてみろよ、名前」
急に土御門は真剣な眼差しになった。
「名前もみたことあるだろ?カミやんは居候少女に頭を噛みつかれていたり」
「ふんふん」
「あの常盤台の超電磁砲に電撃をくらわされていたり」
「うーん」
「その他にも数えればきりがないほどの不幸な出来事がカミやんを襲っている!そんなカミやんは心身ともにつかれてるにゃー」
「まぁ、ね」
「そんなときに、メイド服の名前が1日奉仕してくれてみろ、カミやんの心が救われるとは思わないか?」
「ぐ、ぬぬ……」
「にゃー!やっぱり似合ってるにゃー」
丸め込まれた、完璧に…。
メイド服なんか無いでしょ、とでもいって断ろうとしたが、このコスプレロリコン野郎は普通に持ち合わせていたのを忘れていた。
普段はスカートなどもはかないから、ヒラヒラするのも気になるし、思いの外短い気がするし…
恥ずかしさMAXだ。
「あーーーみるなみるな!これは仕方なくだ!」
もはや自棄になりながら上条の部屋に向かおうとするとデシャブの用に腕を引かれて、今度は床に押し倒された。
「え、なにしてんの…、早く上条の部屋に…」
「あー、あれな。あれ嘘」
にこりと、不敵に笑いながら土御門は爆弾発言をした。
「な、な、な、っ!!」
「いやー、だって土御門さんは嘘つきだからにゃー」
ふざけんなって叫ぼうとしたら土御門に口を塞がれた。
土御門の口で。
やっとの思いで解放された私は土御門を睨むけど、土御門は嬉しそうに口角をあげるだけだった。
「嘘でもつかないと、名前はメイド服なんて来てくれないにゃー」
「当たり前でしょ!!」
もう着替えようとしたら、土御門に抱き締められて耳元で囁かれた。
「可愛いぜ、名前」
「っ!!」
なんて卑怯な奴なんだ!!
とりあえず、一発殴っとこうと決意した。
Title:ひよこ屋
20130824
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