「な、何言ってんだ、祐梨」
「お願い風丸!」
只今私は物凄い勢いで、風丸に詰め寄っています。
普通は逆じゃないかって?そんな事は関係ないです。
「なんで、急にそんな事…」
私のあまりの勢いに、風丸は思わず苦笑いをもらしながら言う。
「だって、風丸の髪、スッゴい綺麗なんだもん!」
そう、私は風丸の髪で遊んで…いや、ちょっと櫛でといてみたりしてみたい、だから髪を触らして、と頼んでいる訳だ。
けして変態な訳ではない。←
「お願い、お願い風丸!!」
私のささやかな野望を叶えさせてくれ、と言わんばかりに風丸に抱き着いた。
「〜///わかった、」
「ありがとう風丸」
という経過があり今にいたります。
そこらにあった椅子に座ってもらって、私は風丸の後ろに立っているわけなんですが、
いざとなるとちょっと緊張するわけであります。
「なぁ、祐梨」
「な、な、何!?」
「なんか、見られるだけって緊張するんだが…」
だ、だよねぇ、とあたふたとしながら思い切って風丸の髪に触れた。
ポニーテールに纏めているゴムを外すと、少しウェーブがかった空色の髪がなびいた。
櫛を通すと、サラサラと櫛の目の間を髪が滑っていく。
「か、風丸てさ、なんか手入れしてる?」
「いや、普通にシャンプーで」
そ、それでこんなに綺麗だなんて…、これでも頑張って手入れしている私との差に思わず泣けてくる。
髪に触れるたびに、ふわっと香る香りに思わず安心する。
風丸の匂いっていうかなんていうか。
「どうした?!」
は、っと我に帰ると私は風丸の髪に顔を埋めるような感じで後ろから風丸に抱き着いていた。
「ゴメン、すぐくくり直すね」
と言い再び風丸の髪に櫛を通そうとした時、その腕を風丸に捕まれて、壁側に追い込まれた。あれ、なんか似たような事なかったか?
「あ、あの、風丸サン?」
挙動不審になりながらも風丸を見ると、どこか楽しそうに黒い笑みを浮かべていた。
なんかヤバいと思った瞬間、私の髪を纏めていたゴムがほどかれた。
「祐梨、まさか自分だけ人の髪いじって終わり、とか思ってないよな?」
「は、はぃ…」
しまったぁぁああ、と思った時には既に遅く、風丸の手が私の髪に触れていた。
「ひっ!!」
思わず悲鳴が漏れた。なんかくすぐったい。
「も、もういいでしょ」
「嫌だ」
なんだ子供かぁー!とつっこんでやりたいけど、そんな余裕はなかった。
急に風丸に抱きしめられ、風丸は私の髪に顔を埋める。
風丸の吐息が耳に触れて、少し肩が揺れた。
「祐梨の髪って、いい匂いするな」
「風丸もいい匂いだよ」
どこか懐かしくて、安心する
甘い匂い(風丸のほうが髪綺麗なのは不公平だよね)
(祐梨のが綺麗だろ?)
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久しぶりの短編!!
風丸ー!!
なんとなく思いついて書いた話しだけど…、最後Sだったな風丸…。
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