いやいやいやいや、ありえないありえない。
そんなことを思いながらも先程から黄色い悲鳴が聞こえてくる方へ視線を向ける。
黄色い悲鳴を上げる彼女達の視線の先にはグランドで練習してる、イタリア代表オルフェウスの選手達。
わかりますよ、イケメン揃いなんですよね。
特に、現在キャプテンを任されているイタリアの白い流星ことフィディオ・アルデナは一番の人気でしょう。
そんな素晴らしいお方にお近づきになれるわけもないのに、毎日毎日飽きもせずに練習を見にきてる彼女達をある意味尊敬するよ。
ならなんでお前もその近くを通っているかって?
学校までの通学路だからです、と言うのが本来の理由だけれども、ここを通りたい他の理由があるからなんです。
さっき彼女達に皮肉の言葉を言ったのは、全部自分に向けたもの。
私だって、あのカッコイイ皆様を見たい訳であります。
ただでさえ美形なのに、サッカーやってる時は、より一層かっこよくなる。
所謂、一目惚れ…かな…。
キャプテンマークをつけ、選手達に指示をだしているしっかり者の彼、フィディオ・アルデナの事が好きになってしまった。
でも、彼女達見たいにグランドの側でカッコイイーとか叫べる訳でもないから、遠目から眺めるだけ。
なんで叶わぬ恋をしてしまったのだか。
先程の場所から少し離れた場所にあるベンチに腰かけて、はぁと一息ため息をはく。
いっその事、ここを通るのを止めてしまえばいいのだろうな。
見たら、なんかドキドキって言うか、なんかキュンッてしてしまうから。
そんなことを考えながら俯いていると、急に目の前に影が落ちた。
何事、と顔を上げると…、え?
「え、あ、え…?」
なんで、貴方がいるんですか。
「フィディオ・アルデナ…さん?」
「あ、俺の名前知ってるんだ」
何か嬉しいなぁ、とニコニコ笑う彼を見ていると心臓に悪い。
そりゃあ、イタリアで貴方の事を知らない人はいないですよ。
あぁ、もう心臓の音がうるさい。
「あの、れ、練習はいいんですか…?そもそも、なんでここに…?」
疑問だらけすぎる、そもそもなんで彼は私に話しかけてきたのだか。
「君、いつもここ通ってるでしょ?サッカー好き?」「えぇ…まぁ…」
「そっか!ならよかった!だったら練習見ていかない?」
え?と、聞き直すように彼を見ると、私の答えを待っているのか私を見つめている。
ちょっと待って、いろいろありすぎて頭が正常に働いてくれない。
「なんで、私に?」
「いつもここを通ってる君がなんだか気になったから、かなぁ…。だから、君に練習を見てもらいたいからって理由じゃ駄目かな」
首を少し傾けながら笑顔を向けてくる彼に、私はたじたじだ。
そんな事を言われたら誰だって期待してしまうだろう。
期待したら駄目だって言う自分の制止も虚しく、私は頷いてしまう。
「ありがとう!じゃあ行こう」
そう行って手を引いていく背中を見つめていると、なんとも言えない気持ちになる。
やっぱり駄目だ、期待してしまう。
目の前の彼は、イタリア代表キャプテン。
私はただの平凡な中学生。
繋がるはずのない私達は、今確かに繋がった。
「それじゃあ、そろそろ君の名前を教えて?」
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最近、名前変換使わないのが増えた気が…
24.3.31
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