嘘であってくれたなら 

*死ネタ
*後半結構暗いです





目を開けると穏やかな昼下がり、晴天の空が視界いっぱいに広がる。

今日はいい天気だなぁ、なんて呑気な事を考えながらとある場所に向かう。

楽しみだからか、自然と進む足も速くなり自然と走りだしていた。

速く、速く、そう願いながら走る。

不思議とその足どりは重くなる事なく、いつまでも走れるような気がしていた。

待ち合わせ場所としていた公園に着くと、大好きな彼の姿が見えて自然と表情が柔らかくなる。

「フィディオ!」

彼の名を呼んで、その元へと走って行くと、俯いていた視線が上げられた。

「祐梨…?」

「ゴメンね?遅れて来ちゃって」

これでも急いできたんだよと自嘲気味に笑ってみても、フィディオは何も言わなかった。

やっぱり、怒ってるのかな?

「フィディオ…?」

さすがにおかしいな、と思いながらフィディオの顔を覗こうとすれば、フィディオは急に私の両肩を掴んだ。

「祐梨!君は、本当に祐梨なのか」

いつもの冷静なフィディオからは想像もつかないような、切羽詰まった勢いだった。

なんでそんな事を聞くんだろう。

「どうしたの?フィディオ」

フィディオらしくないね、と笑うと、酷く悲しい表情をしていた。

どうして、そんなにも悲しそうな表情をするの?

どうして、そんなにも…

「あの日から、もうずっとずっと待ってた。」

唐突にフィディオから発された言葉には違和感を覚える。

「どれだけ待っても、祐梨は来なかった」

「…、どうゆう、こと…?」

わけがわからない、と、私の頭の中は混乱する。

ただ、胸騒ぎが止まらない。

「祐梨、君は…。」

一年前、死んだんだーーー

「…、え?」

苦しそうに顔を歪めながら言うフィディオの言葉に、私はただ呆然と立ち尽くす事しかできなかった。

死んだ、私が?

なんで、そんな事言うの?

私は貴方の前にいるじゃない。

そう言いたいけれど、フィディオが私を抱きしめながら肩を震わしていたのを見ているて何も言えなくなる。

そして違和感が体中を駆け巡る。

確かに、フィディオは私を抱きしめている。

でも、触れているはずのフィディオの腕からもいつもの温かさは感じられない、あの大好きな匂いもしない。

触れているはずなのに、酷く貴方が遠い。

「どうして、祐梨なん、だ。どうして祐梨が…」

フィディオが泣いている。

泣かないで、フィディオには笑顔でいてほしいから。

そう思いながら、フィディオの頬に流れる涙を拭おうとしても私の指をすり抜けて流れ落ちていく。

その事実が、嫌なほど鮮明に写る。

フィディオをこんな表情にしているのは、私…?

「フィディオ、私、私はここにいる。フィディオのそばにいる!」

死んでなんかいない、そう自分に言い聞かせたく私もフィディオの背中に腕を回すけど、やっぱり何も感じない。

流れる雲も、晴れ渡る青空も、絶え間無く吹く風も何もいらない。

全部全部、嘘。

私が死んだ事だって嘘でいい。

私と、フィディオが今一緒にいる。

この事だけが本当で、他の事はきっと全部嘘の世界。







貴方にこんな想いをさせずにすむのに



*********

フィディオ初夢なのに、何故こんなにも暗くなった←

しかも、内容かなりまとまりないわ…
何故こうなった←

24.3.23

   end 
(1:1:23)
bkm
 
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