「こら、待て祐梨!」
「へへーん。待たないよー!!」
余裕の雰囲気を出しながら俺の何メートルか前を走っている祐梨を必死に追いかける。
何気に足早いんだよな、祐梨は。
普段は危なかっかしいし鈍感なくせに、逃げ足だけは速いっていうかさ。
「リュウジには捕まらないよー」
「おま、言ったな!」
あまりの言われ様に流石にカチンときて走るスピードを上げると少しずつ祐梨との距離が縮まっていく。
祐梨後ろを振り返って、距離の縮まりようを見て驚いたような表情をした。
「う、リュウジ容赦なさすぎっ」
祐梨も流石に体力の限界なのか少しずつスピードが落ちていた。
よし、もうもう少しで追いつく。
「う、わっ!!」
「っ!!バカッ」
祐梨の身体が前に傾くのをみて、とっさに祐梨の腕を引いたけど、走っていた勢いが残っていたものだから二人とも壮大に地面に転んだ。
「はーっ。追いついた」
「転ばなかったら追いつかれなかったのに…」
悔しそうに頬を膨らます祐梨をみて、思わず笑ってしまった。
「俺も伊達にサッカーやってるわけじゃないからさ。」
「残念。はい、じゃあ返す」
そう言って差し出して来た手には、祐梨が俺から奪っていた髪留めがあった。
「たく、これが無いと困るんだからな。なのに隙間あらばって取っていくんだからさ」
本当困るよ、と溜め息混じりに言うと、祐梨は上を見上げながら呟く。
「だって、そうしたらリュウジが追いかけてきてくれるでしょ?」
「え、」
どうゆう事だよ、と問い詰めてみると、祐梨はそっぽを向いた。
その頬が赤く染まっていたのを見逃さなかった。
「だ、だから!リュウジと一緒にいれるから…」
語尾が小さくなっていきながらもそう言う祐梨に思わず俺まで照れてしまった。
不意打ちはキツイ。
「り、リュウジ…?」
「…よ、」
「へ?」
「だから!可愛いすぎだって言ってんの」
「な、////」
自分でも恥ずかしくなって、こんな顔見られたくなくて、祐梨を抱きしめた。
「俺も祐梨といられて嬉しいし、追いかける時も何だかんだ言って楽しいし。むしろ祐梨じゃなかったら追いかけたりしないし…あれ…?」
「え、」
少し驚いだように声をだした祐梨の声を聞いて、勢いで自分の言った事が後からわかってきた。
「そ、それって…」
「だ、だから。祐梨が好きだから!!」
あぁもう俺格好悪い…。
でも、どんな形でもいいから祐梨に伝わってほしい。
目の前の君に届け************
初、緑川短編…。
ん???
勢いで書いたから全然まとまりがない…。
24.3.1
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