おでこにそっとキス 

「お疲れ!拓人」

そう言ってタオルを渡すと、ありがとうと言いながら受け取ってくれた。

「悪いな、急にマネージャーの仕事を頼んでしまって」

「全然いいよ!拓人の頼みだしね」

今日はサッカー部のマネージャーが皆何かしらの用事でいないらしい。

それで私に1日だけマネージャーをしてくれないか、と、拓人から頼まれたわけだ。

幼なじみである拓人の頼みなら聞かない理由なんてない。

そして今に至るわけだ。

「サッカー部凄いとは聞いてたけど、本当凄いね!」

ベンチから練習風景を見ながら拓人に言った。

皆頑張ってて、本当凄いと思った。

「拓人がキャプテンかぁ」

「ん?どうした?」

「なんか、拓人はどんどんかっこよくなっていくなぁってさ」

「なっ///」

悪戯気に笑うと、拓人は顔を赤くした。

こうゆう所は昔から変わってないな。

「お前…、からかってんのか?」

「ふふ、本当の事だよ。」

そういうと、拓人は赤い顔のままそっぽを向いた。

「…、自惚れるだろ…」

「え?」

「あ、いや何でもない」

急に拓人が慌てだした、何で?

「あ、ドリンク作らなきゃ!じゃあ拓人頑張ってね!」

そう言って、ドリンク作りに行った。




今日の部活も終わり、グラウンド整備をしてからサッカー棟に戻って着替えを始めた。

今日はマネージャーが急にこれなくなって、ダメもとだったけど祐梨に1日マネージャーを頼んだら快く引き受けてくれて助かった。

それにしても、祐梨の言葉には困らされる。

無意識なのかわからないが、あんなこと言われたら自惚れるだろう。

俺は祐梨の事、好きだから。

「神堂、急がなくていいのか?待たせてるんだろ」

霧野の言葉で、我に帰り着替える手を早めた。

そうだ、もう遅いから送ると行っていたんだ。

「悪い、先に行く」と霧野達に言ってから、祐梨の待つグラウンドに向かった。

「すまない、待たせ…た」

急いで向かうと、グラウンドのベンチで祐梨が寝ていた。

慣れない事を頼んだからな、疲れたんだろう。

そう思いながら、祐梨の横に腰を下ろした。

「たく、と」

「ん?」

「…」

寝言か、どんな夢みてるんだか。

祐梨があまりにも嬉しそうな表情をしているものだから、思わず俺まで嬉しくなってしまった。

「今日は、ありがとうな」




おでこにそっとキス



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お題:ひよこ屋


24.2.18

   end 
(1:1:23)
bkm
 
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