世の中には、わかっていても認められない事が沢山ある。
すくなくとも私は、そうゆう事があっても、認められるほど心の広い人間じゃあないだろう。
そう、考え方が子供なんだ。
自分にとって認めたくない事は現実として受け入れたくないと、泣いて喚いてしまいそうなほど。
もし、そのような事も認めるのが大人なら、私は我が儘の通じる子供のままでいたい。
「私は、こんな形でもう一度南沢先輩がサッカーしてるの…、見たくなかったです」
「…、あぁ」
「それでも、南沢先輩がサッカーしているの見てたら、やっぱりかっこよくて」
私が言う言葉を南沢先輩は何も言わずにただ聞いてくれていた。
「やっぱり、好きなんです、南沢先輩が」
南沢先輩は月山国光に行くとき、私に言った。
別れよう、と。
『な、なんで…急に…』
『俺は、俺が正しいと思う事をしたい。俺は、雷門の敵になる』
『ッ…』
『祐梨は雷門だ。だから、俺とはいないほうがいいだろ…』
あの時、南沢先輩があまりにも苦しそうに表情を歪めていたから、何も言えなかった。
私が南沢先輩を苦しましているのがわかったから。
きっと今の言葉も南沢先輩を困らせるに決まってる、そうわかってても言ってしまう私は、なんて子供なんだろう。
「祐梨」
久しぶりに南沢先輩が私の名前を呼んでのを聞いた気がした。
南沢先輩が近づいて来るのがわかって、思わずギュッと目を閉じた。
次の瞬間、ふわっと南沢先輩の匂いがした。
久しぶりに感じる温かさだった。
「祐梨、」
「南沢…せんぱ」
「ずっと、会いたかった」
「私も、です…」
あの日届かなかった、背中に手を回した。
「あの日から、なんか祐梨の面影ばっかり追ってた。」
「…」
「やっぱり、俺も祐梨が好きだ」
「先輩…、私…」
言ってもいいんだろうか?これを言ってしまったらまた先輩を困らせてしまうかもしれない。
「やっぱり、先輩には雷門にいて欲しいです。また雷門のユニホームでサッカーしている南沢先輩が見たいです」
「…」
「でも、ここでの方が南沢先輩のしたいサッカーがあるなら、私はもうそんな事は言わないです」
「祐梨…」
「今日の南沢先輩、とってもかっこよかったです。やっぱりどこでやっていても私の大好きな先輩でした」
それでも、やっぱり望んでしまう。雷門でサッカーをしている、南沢先輩を見たい、と。
「でも、それでも、私、私…」
嫌だ、言ったらダメだ…、そう思うのに、私の口は止まってくれない。
「もう一度、雷門で、頑張ってる南沢先輩を応援したい…、そばにいてほしいって思っちゃうんです、我が儘だってわかってるんですだけど…」
「ばかやろ、」
泣いている私の頬を、南沢先輩は優しく包んでくれた。
そのあと、そっとキスしてくれた。
「俺も、祐梨のそばにいたい。」
「先輩…」
「それでも、俺は…」
聞きたくないと思っていた、だけど、私はその現実を受け入れて、前に進まなきゃダメなんだ。
どうにもならないこと(それでも、俺はずっと祐梨が好きだ、)
南沢先輩の肩が震えているのがわかって、私は何も言えなくなった。
その言葉に、泣きながら頷く事しかできなかった
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今日のイナゴ、絶叫でした←
南沢さん帰ってこないんですかねぇ…。
南沢さんが雷門でまたサッカーしてほしいなぁとか思っていたら、思わず書いてました。
24.1.11
┗24.2.14 移転
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