背伸びした恋 | ナノ









今日は部活が無いらしく、少し神堂達と話してから帰宅していた。

それでも、いつも体を動かしているせいか体を動かさないとスッキリしない。

少しボールでも蹴ろうかと、いつもの通学路から外れた広場があるほうに足を進めた。



広場に着くと、まだ夕方だから小学生達が何人かが滑り台やジャングル事務などで遊んでいるのが聞こえる。

そんななか、ボールを出し、ただ無我夢中にボールを蹴り続けた。

最近は、何も上手くいかない。

でも、こうしていれば、あれやこれや考え無くても済む。

ただ、純粋にボールを蹴る事だけを考えられる。

どれぐらい経ったのか、辺りは夕暮れと化していて、さっきまでいた子供も帰っていた。

少し休憩しようと、ボールを蹴る足を止めようとしたらトラップしそこねてボールが転がっていった。

「やべっ」

急いで取りに行こうとした方をみると、その先には女の人がいた。

ボールを追いかけなきゃいけないのに、俺はその人に見惚れていた。

その日は、夕日が落ちる方を見ながら、何処か悲しそうな表情をしていた。

長い黒髪をサイドにポニーテールにまとめていて、その結び目には白色のリボンが結ばれていた。

雰囲気的に年上だろう。

「すいません、そのボール…」

俺が声をかけると、先程まで夕日に向けられていた視線が俺に向けられた。

少し茶色がかったパッチリとした二重の瞳の中に、俺の姿が写りこんでいた。

どうしてだかわからない、でも俺はその人の瞳から目を離せなかった。

何処か、何か引き込まれるような、不思議な感覚だった。




夕暮れの園で


初めて彼女と出会った





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