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何か見れば見るほどに、酷さがわかってくる。

精一杯頑張って、形を整えた(特に卵焼きとか)けど、お母さんの作った綺麗な卵焼きと比べると天と地ほどの差がある。

「ほほほ、ほら、見た目より味って言うじゃん…?」

最後の切り札、そう、味!きっと味はいいはずだと信じたい!

「…、だな…。いただきます…」

若干躊躇いながらも南沢はおかずに箸をつけ、私が一番頑張って作った卵焼きをつかんだ。

そして口へと運んだ。

何を言われるかわからないものだから視線を外していた。

しばらく無言の時間が過ぎていき、空気に耐えられなくなった私はちらっと南沢の方をみた。

その光景に、思わず目を見開いた。

「みな、みさ、わ…?」

唖然としながら見ていると、南沢は何も言わずに次々とおかずを口に運んでいた。

一気に食べてしまわないといけないぐらいまずかったのかな…?

「陽菓」

「は、はいぃっ!」

「これさ、すげぇ美味い」

「へ…?」

ポカンとしていると、南沢はニコリと笑っていた。

美味しい…?って言った?
「はぁあ…。よかったあ…」

緊張の意図が切れ、一気に息を吐いた。

肺にある空気、全部出した気がする。

「マヌケ面だな」

「本当、緊張したんだってば」

そんな私の様子をみて、南沢は楽しそうに笑っていた。

でも、よかった。

頑張って作ったかいがあった。

「サンキュー。」

急に頭に小さな衝撃を感じて頭をあげると、南沢の手が私の頭にのっていた。

その瞬間、先程の緊張していたときのとは違うドキドキ感が身体中にあった。

なんだ、これ?

心臓の辺りを押さえてみるけど、何だかわからない。

ただ、頬に熱が集まってくるのはわかった。







なんで、南沢を見たらドキドキするの?




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やっと恋愛要素でてきたな…


24.4.1


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