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どうやら授業が始まってからも寝続けてたらしく、授業が終わったとたんに南沢にどつかれた。
地味に痛くて、一気に目が覚めた事は今でも鮮明に思い出せる。
もうちょっといい起こし方があるんじゃないか、と南沢に咎めたかったけど、板書を写してくれていたから何も言えなかった。
まあそんなことはさておき、今日一番楽しみにしていた昼休みがやってきました。
あまりの楽しみ具合で昼休みになったとたんに教室を飛びだして屋上まで走ってきた。
「おー、いい天気」
上機嫌で屋上の真ん中当たりまでくる。
もう秋も終わりを告げようとしているこんな時期だけど、今日の日差しは暖かかった。
汚れてしまうなんて気にしないで寝転がると、視界いっぱいに青空が広がる。
「空は広いなぁ…」
目を閉じても、まだ青空がまだ目に焼き付いていた。
秋の空って、なんか綺麗だなぁ…。
「また寝てんのか、ずいぶん幸せそうな表情だな」
「え?」
どうして人の声がと思いながら目をあけると、先程までの青空は何処へ、視界には南沢の顔がどアップ。
綺麗な紫色の髪をかぜに揺らしながら、楽しそうにこちらを見ていた。
「え、ちょ、なんで…?」
「自分で言った事忘れたのか?」
「あ…」
忘れてた訳ではないけど、思わず口からでた。
だってその、…。
「ち、近い…。顔…」
「ん?」
絶対わかってるはずなのに今だに一定の距離のままで離れようとしない。
もう限界だ、と思ってとっさに南沢から離れた。
性格はともかく、南沢は顔が整ってるし…その、ちょっとエロいオーラが…。
そんな人が目の前で、しかもかなりの至近距離で笑ったら、正直心臓に悪い。
しかもたちの悪い事に、南沢は絶対確信犯だ。
心底愉しそうに笑う。
「本当、陽菓って見ていて飽きないよな」
「うるさい!南沢のせいでしょ!!」
こっちがムキになっても何ともないようにしている南沢には敵う気がしない。
「もう弁当あげない」
「はいはい。悪かったって」
まるで子供をあやすように言いながら、南沢は私の横に腰を下ろした。
「はい、これ。」
毒は入れてないよ、なんて冗談混じりに言いながら渡すと、南沢は早速弁当の蓋を開けた。
うわっ、何かこうゆうのって変に緊張するなぁ…。
「…。」
「が、頑張ったんだよ。これでも…」
南沢が無言になるのも無理はない…よね。
お世辞にも綺麗な見た目とは言えない。
何とか原形を留めてると言ったら言い感じ。
「どうやったらこうなるんだ…」
「いや、本当に申し訳ない」
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