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屋上に呼び出しと聞いて、決闘しか思いつかなかった私は、南沢いわく馬鹿らしい。
いや、思いつかなかったんだよ何も。
まぁ、昼休みはいつも暇だからいいけどさ。
そんな事を考えながらも屋上への階段を一段また一段と上がっていく。
本当に南沢という奴の思考はよくわからない。
いったい何の意図があるのやら。
ギィィと古びた鉄の音共に扉を開けた。
今日はいい天気だな、とか呑気な事を考えながらも周りを見渡すと最近見慣れた紫色の髪が見えた。
そちらに駆け寄っていくと、その髪が揺れた。
「意外と早かったな」
「まぁ、約束だったしさ」
南沢が先に来てた事の方が意外だと思ったのは心にしまっておこう。
まあ座れよと言う南沢の横に座り、弁当を広げた。
昼休みになって直ぐとの事だったから弁当もまだって事。
「南沢、パンなんだ」
「今日は、な。」
寝坊?寝坊?とからかったように聞くと、煥発いれずに額を叩かれた。
「寝坊常習犯には言われたくねえな。しかも寝坊じゃないしな」
寝坊常習犯って…、ちょっと酷くないか。
確かに遅刻ギリギリだけどさ…。
「…、それ、陽菓が作ったのか」
「いや、お母さん。…、って何勝手に食べてんのっ!!」
私が楽しみにしていた卵焼きが南沢の口の中に消えていく。
あぁ…、弁当のおかずの中で一番好きなのに…。
「南沢このやろー」
恨みの視線を送ると、南沢は全然気にしていない様子で食べていた。
「陽菓が作ったのだったら安心して食えねえからな。」
何さらっと私のことけなしてんの。
「食べた事もないくせに、わかったような口で…。これでも美味しいって評判なんだよ」
「へぇ…」
「親に!!」
「…。」
やっぱりか、と言うような呆れ顔でため息ついたよ。
何気にまたおかずを奪っていくし…。
「そこまで疑うなら、明日作ってきてやるよ!!」
「は?」
キョトンとしている南沢に向かって、宣言してやった。
明日の昼休み屋上に
(絶対に南沢をギャフンと言わせてやる)
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南沢、実は一緒に昼ご飯を食べたくて屋上に呼んだという、設定。←
24.2.19