3
「陽菓、家どっち」
「あっち」
「ふーん…、じゃ行くか」
南沢は自分の持っていた缶コーヒーを飲み終えると、私のさっき刺した方向に歩きだした。
「え、南沢。こっちだったっけ?」
「送る。こんな時間に女一人で帰らせっかよ」
「えっ」
驚いて南沢を見るけど、角度的に表情は見えない。
知らなかった、南沢って思ったより全然優しかった。
いつも馬鹿にしてくる南沢を見ていたら、今の様な事を言うなんて想像もつかなかったわけで。
どうりでモテるわけだ。
「ありがとう。南沢」
「っ!別に…」
南沢の新たな一面を知った私は、なんでか少し嬉しかった。
「本当ありがとう。」
「おぅ。あ、これ」
何かを思い出したかのように南沢は鞄から少し大きめの封筒を取り出して渡しに差し出した。
「何これ?」
「見ればわかる。じゃあな」
と、南沢は帰って行った。
子供みたいに腹だして寝るなよ、と変な忠告をしてきた南沢にうるさいと叫んだのはまた別の話。
あれ、寒いはずなの
に、なんかポカポカしてる。
なんでだろう。
さっきココア飲んだからかな?
ホットココアの魔法
(そう言えばこれ何だろう)
疑問に思って封筒を開けると、プリント数枚。
その一番上のふせんに[明日のHRまでに提出]と南沢の書いた文字が書かれていた。
…やっぱり鬼だ。
**********
南沢先輩はスパルタだけど優しいと思う!!
24.1.10 祐稀