1「ゴメン、待った?」
「いや、俺も今来たとこだ」
待ち合わせしていた場所に行くと、部活を終えた風丸が既に来ていた。
今って言ってるけど、絶対早くきてたよね。
でも、そういって気を使ってくれる風丸はやっぱり優しいと思う。
「もうすぐ、決勝なんだよね?」
帰路を帰りながらはたと思い出して、聞いた。
円堂がずっと全国だーや、フットボール…うーんなんとかだーって教室でよく叫んでた気がする。
「あぁ!ついに、全国の決勝まで来たんだ」
嬉しそうに言う風丸を見ていると、こっちまで嬉しくなる。
横を歩く風丸の横顔は、夕日が当たってキラキラしていた。
「絶対勝からな、だから見に来てくれないか?」
「え?」
驚いて見ると、風丸はしっかりと私の方を見て、笑顔で言った。
なんだか、急に照れくさくなったけど、私も笑って頷いた。
「勝ってよ!私、頑張って応援するからっ!」
雷門のみんなが勝てるように、風丸が全力を出して戦えるように。
フットボールフロンティア、決勝。
雷門は劣勢、相手はとんでもなく強い。
でも、みんな諦めてない、風丸も、私も…!!
だから、
「頑張れッーーー!!風丸ーーー!!」
頑張れ、頑張れ…!!
ただただ、強く願った。
「風丸ッ!」
どんなに傷だらけになっても風丸は諦めてない。
そうだ、風丸はいつも頑張って練習していた。
その風丸が負けるはずない!
「ッ!!」
円堂がボールを止め、風丸にボールが渡る、風丸が敵をかわしながら進んでいき、フォワードにボールがわたる。
「はいった…?!」
あと1点、あと1点…ッ!!
そこからは雷門の反撃が始まった。
もう1点いれ、試合終了のホイッスルが響いた。
勝った、勝ったんだ…!
「やった…!やった!」
歓声が響きわたり、思わず涙が込み上げた。
「おめでとう…!!」
その後は、今だに止まることない歓声が響いていて、みんなの嬉しそうな声が響き渡っていて、永遠に続くように感じた。
.
prev|
next