6あてもなしにいろんな所を走って行った。
円堂からの電話は、風丸がイナズマキャラバンを降りた、ということ。
細かい事はよくわからないけど、とにかく、サッカーを止めた…ということになる。
なんで、なんで!!
どうして、風丸が…。
あの時、そんな事一言も言わなかったじゃん…。
もう風丸の側にいられなくても、風丸が頑張ってるサッカー…応援しようと思ったのに。
なんでこんなにも必死に探しているんだろう。
会った所で、突き放されるかもしれないのに。
でも、それでも、風丸がサッカーをやめるなんて、よっぽどなんだ。
そんな時、風丸を一人になんてしておけない。
心のなかでそう響いている。
だから私は風丸を探しているんだ。
どこ?どこにいるの?
もしかしたらと、向かう方向を変えた。
その時、また頭が痛み始めた。
ずっと走っているせいか、息遣いも荒くなってきた。
それでも、走り続けた。
そう、河川敷。
あの場所になら、いる気がした。
走って向かい、河川敷に着くと思わず涙がでそうになった。
何処かで安心したからだろうか、そこには、あの日と同じように見慣れた後ろ姿が見えたから。
でも、酷く弱々しく感じた。
「風丸…、風丸ッ!!!」
大声を張り上げて名前を呼ぶと、風丸がこちらを振り返った。
遠目だけれど、風丸の瞳には驚きが混じっていた。
でも何処か光を失っているようにも感じた。
ねえ、何があったか教えて?
どうしても、風丸がそんな風になってるのを見て見ぬふりなんかできないから。
他の誰にも言えないでも、私にぐらい言って?
だって、風丸は私が辛い思いをしている時、いつも側にいて、一緒にいて話を聞いてくれたから。
今度は、私の番だよ。
ふたりきりだから全部話して?
風丸が抱えてる事、辛い事も苦しい事も
一人で抱え込まないで…
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