5いや、違う…
俺は、言い訳を…してる
本当は、自分を守っているだけなんだ
いつか、どうにもならないぐらいボロボロにやられたとき
もう弱音ばかり吐いてしまいそうで
そんな姿を、祐梨がみて、愛想を尽かされるんじゃないかって
それが何より怖いんじゃないか?
「っ、はっ、はは」
自分に呆れた、思わず自嘲気味に笑いを零した。
そうだ、自分がそうなった時、もう立ち上がれないぐら傷ついてしまわないように、
俺から別れを告げたんだ
その言葉は、祐梨にとってどれだけ残酷な言葉か、わかっていながら…
俺は自分が傷つかないようにしようと、祐梨を傷つけたんだ。
傷つけたく、なかったのに。
自分で傷つけた。
「最悪、だ、な」
空を見上げると、果てる事のない闇が広がり、冷たい雨が降り注ぐ。
結局、俺は弱い、
自分を守るために、大切な人を傷つけてしまった。
これで本当に、祐梨の横にいる資格は無くなってしまった。
「ッ…」自分で選んだはずなのに…
後悔で、虚しさで、胸がいっぱいだった…
また、朝がきたら、雨がやんだら
また俺を見送りに、祐梨が来てくれるんじゃないかって、考えている自分がいる。
そんなわけ…、絶対にないのに…
『だから…ずっと一緒にいてくれ、祐梨』
フットボールフロンティアで優勝したとき、祐梨を抱きしめながら、俺の言った言葉が脳裏を過ぎった。
あのひのやくそく守ってやれなくて…、ゴメン…nextあとがき
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