3雷門イレブンが遠征に向かい数日が経った。
イナズマキャラバンという乗り物で行動するらしい。
ずいぶんと大事なんだな、と思った。
しかも、帰ってきたらまた遠征、と度々続くらしい。
かなり疲れてるだろうな。
体調は崩していないだろうか。
そんな事ばかりが頭を染める。
外をみると、空はグレーの雲で覆われていて、ザーザーと雨が降り注いでいた。
明日には、帰ってくる、と言う話しを聞いた。
明日まで降り続かなければいいなぁ、と思いながら傘を開き、帰路を進んだ。
夜ご飯を食べてしばらくしてから急に機械音が自室に響き渡った。
携帯を開くと、受信ボックスにメールが着ていて、内容を見た時、私は夜の野外に飛び出した。
向かうはいつもの河川敷。
急いで向かうと、見慣れた空色のポニーテールが見えた。
「風丸ッ!」
私が叫ぶと、風丸は振り返り、私をみて、薄く笑った。
「どうして?明日帰ってくるんじゃ…」
「今日の夕方帰ってきたんだ。明日の早朝には、また遠征らしい」
「そう、なんだ…」さきほどから暗く思い空気が漂う。
それは、今にも雨が降り出しそうな今の空のように、重く、暗く…。
風丸をみても、俯いたままだった。
「風丸、どうし…」
「なぁ」
私の言葉を遮るように風丸は口を開いた。
「俺と、別れてほしい」
え?と思わず口に漏れ、聞き間違いかと風丸を見るけど、冗談を言っているのではないと伝わってくる。
「もう、祐梨の横にはいれないんだ。」
「どうして…?」
なんで?なんでそうなるの?
わかんないよ、ちゃんと教えて?
「ねぇ、風丸ッ!」
風丸のシャツを引っ張って、風丸に訴えるけど、やっぱり風丸は何もいわず、虚ろな目をしていた。
「本当に、そう思ってるの…?」
震えながら、やっとの事で紡いだ言葉。
それでも、風丸は口を開いてくれない。
「ッ!」
その場にいるのが辛くて、私は風丸に背を向けて走り去った。
行くあてなんかないけど、とにかく無我夢中に走った。
いろいろありすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃで気持ち悪い。
ただ、さっきの言葉が夢か、何かの間違いであってほしい。
そう思いながら、ただ走った。
「ぃ、たッ!」
長く走ったせいか、足がもつれて地面に転んだ。
いたい、痛い、イタイ
転んだ所じゃない。
心がイタイ。
急に降り出した雨が、夜の街を濡らしていく。
ゆっくりと上体をあげて、空を見上げると、冷たい雨が頬を滑る。
その冷たさが、これが現実である事を物語っているように感じた。
だれか嘘だといって?
私どうしたらいいか全然わからないよ。
どうする事もできなくて、私はただ、声を上げて泣く事しかできなかった。
かなしみはどこへ貴方の一言は、私の悲しみを溢れ出すには十分過ぎるnextあとがき.反省
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