カリカリ…パラパラ…ペタン。
署長室にペンを走らせる音と紙をめくる音、印を押す音が響く。


(二人ともやれば出来る人なんですよね…)


ハンニャバルはそう思いながら書類の山をマゼランの机に置いていく。マゼランの隣では特製の椅子に座る名前が書類の最終チェックを行っていた。


「…署長、これ二枚重なってますよ。下にあるのお願い致します」

「おお、すまない」


いつもの会話はなく、ただ淡々と仕事をこなす二人。ハンニャバルは不気味に思いながらも最終チェックの終わった書類をまとめた。


「…はい、これで全部ですね。署長、お疲れ様でした」

「……」

「…署長?」

「名前!」

「!はいっ」


早技とはこのことか。ハンニャバルはマゼランが名前を呼ぶと同時に引き寄せて膝の上に座らせ抱き締める様を見て思った。


「名前ー!」

「しょ、署長…!今日は最速記録が出たかもしれないくらい早かったです!」

「早く名前に触れたくてな…!」

「仕事が終わった途端これかよ」

「ああ、ハンニャバル。その書類頼むぞ」

「はいはい…」


真面目な態度は何処へ行ったのか、夫婦はいつものようにじゃれあい始めた。ハンニャバルは呆れながら署長室を出て行く。


「署長、今回の投獄リストも強者ばかりでしたね」

「野放しに出来ん連中ばかりだ…捕まえることが出来て良かった」

「はい。署長のインペルダウンで悪さしたことを後悔させましょう」

「我々の、インペルダウンでだな」

「此処は署長の、ですよ。譲りません」

「…そうか…!名前が言うのならこれからも此処を守り続けよう」

「陰ながら支えます」

「陰ながら?遠慮するな…堂々と支えてくれ」

「…はい!」


名前はニッコリ笑って署長に抱き付いた。







(……入りづらい。新しい書類持ってきたけど入りづらい)

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