ハンニャバルは突っ込む気力も無いのか口をあんぐり開けて職場でもおしどり夫婦な二人を眺めていた。 「…今日は何をしてるんだアンタら」 「「手を繋いでお仕事」」 「羨ましいだろう、ハンニャバル」 「いいえ、全く」 ニッコニコと笑いながら繋いでいる手を見せてくる署長夫婦にげんなりと否定した。 「そんな、本当は羨ましいくせに」 「何を言うか」 「名前、羨ましすぎて素直になれないんだ。察してやれ」 「まあ…」 「違いマッシュ。全力で否定スマッシュよ」 「「幸せでごめんなさい」」 「……」 デレっと表情を崩す二人と呆れてもういいやとそっぽを向くハンニャバル。 「あ、そういえば署長」 「やっぱり羨ましくなったか」 「違う。明日護送されてくる囚人の書類は提出しましたか?」 「…明日?」 「…オイまさか忘れてたんじゃ」 「…い、いや、忘れてなど」 「訊いて良かった。早く提出して下さい。それと名字…じゃなかった、名前、他の囚人の書類は纏め…」 「本日提出します」 「……。二人仲良く提出して下さいね」 「「!?仲良く…? はーい!」」 (…あ、何か扱い方わかってきたかも) 「さあそうと決まれば早速書類を片付けようか」 「はい!署長!」 「「仲良く提出するために」」 マゼランは机に合わせて作った名前専用の椅子を取り出し、自分の隣に設置した。ひょい、と名前を持ち上げて椅子に座らせる。 「ありがとうございます、署長」 「これくらい。しかし…名前は相変わらず軽いな」 自身も椅子に座りながら呟く。名前は署長の力が強いのですよ、素敵ですと答えて書類を出し始めた。 「…照れるな…」 「照れる署長可愛いです」 「可愛いのは名前だろう。流石はおれの名前だ」 「まあ。署長大好きです」 「愛しているの間違いだろう?」 「ふふ、愛しています、署長」 「おれもだ。名前」 「いいからさっさと始めて下さい」 ((幸せ者でごめんなさい)) |