ハンニャバルはまた署以下略を捜していた。二人が新婚旅行に行くという書置きを残して消えたという。


「あーあ、何で私がこんなことを…」


思い当たる部屋は全部見回ったハンニャバル。


「署長室にはあの棺桶が立て掛けられていただけだし…私の…インペルダウンに署長不在とは…やはり私が、署長になるべきなんですね!」


署長室に戻ったハンニャバルは署長の椅子に腰掛けた。


「私のインペルダウンへようこそ!私が署長のハンニャバルです!」


ガタガタッ!


「ヒィ!?」


ハンニャバル以外誰もいないはずの部屋に物音が響きました。そっと振り向くと棺桶があるだけです。


「…ま、まさか…幽霊!?…いや、棺桶に入れるのは死体…ゾンビかヴァンパイアか!」


椅子から飛び降りて棺桶に向かって構えます。


「ど、どっからでもかかってこーい!」


ジリジリと近付くどころか出口に向かっているハンニャバル…。ガタッと棺桶が動きました。


「私は逃げませんよー!」


ギイ…と棺桶の扉が開く。


「どうしたハンニャバル…さっきからうるさいぞ」

「署長ー!?」

「あ…いつか私に副署長の座を譲ってくれる一応副署長のハンニャバルさん…」

「お前もかー!!」


立て掛けられた棺桶からはマゼランとマゼランに抱えられた愛妻が出てきました。


「し…署長になりたい!あ、違う。新婚旅行に行ったんじゃ…」

「行ってきたぞ。やはり暗く閉ざされた場所は快適だな」

「はい。とても…良かったです…」

「……棺桶の中でナニしとるんだー!!」

「「ナニをしてました…」」

「照れるとこじゃないと思いマッシュ!つかどうやって?どうやってー?!中は異次元空間ですか!」

「「……」」

「二人とも黙ったまま顔を赤くしないで下さい…」

「よし、通常業務に戻る。体は大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。では…また後ほど」

「ああ、つらくなったら休むんだぞ」

「…それで署長、中ではナニを…」

「……内緒」


…幸せそうで何よりです…。
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