「署長ー…私の部下連れて何処行ったんだ」


てくてく、ハンニャバルは呆れながらマゼランと息の合い過ぎる部下を捜していた。


「休む暇なんて無いでしょうに…は!もしや私の強さに惚れこんで署長の座を譲ってくれたのかもしれない!」


うっきうきのハンニャバルは足元にある黒い物体に気付かずどんがらがっしゃん。


「いったァアアア?!誰だ…私の、署長室に黒い物体を置いたのは…!」


よくよく見れば、


「……棺桶?」


巨大な棺桶が置かれていました。


「………」


もしや、と思い棺桶をノックする。

コンコン。

…コンコン。


「返ってきたー!!?…ということは署長。そこですね、さっさと出て仕事をするか一生そこに居て下さい」


…コンコン……


「何哀愁漂わせてるんですか。あ、そういえば私の部下を見かけませんでした?」


コンコン!


「お前もそこかー!!いい加減出て来い!」


棺桶の蓋を勢いよく開ければ。


「「うう!眩しい…!」」

「さっさと出てきなさい」

「せっかく可愛い我が妻が用意してくれた棺桶だぞ!邪魔をするとは…許さん」

「そうですよ!愛しい署長のために用意した愛の巣を勝手に開けるなんて…許しません」

「本日の業務ですが、」

「「聞いてないな…」」

「……ん?この間までは婚約者でしたよね?」

「おお、よくぞ聞いてくれた!先程棺桶の中で式を済ませたんだ」

「…は?」

「電話でだったけど、神父様にちゃんと祝福してもらいました」

「「じゃーん」」


二人の左手薬指にはキラリと光る同じデザインの指輪が輝いていました。


「ということでハンニャバル。妻の名前に副署長の座を譲ってくれ」

「……ふざけんナー!!!」


署長夫婦とハンニャバル、勝つのはどちらでしょう。

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