「赤髪さん、ぴゅあとは何ですか?」

「…何でおれ?」


鷹の目と名前がおれの船に乗って数日。名前はちゃんとした海賊船に乗るのが初めてだとハシャいでいた。
暫くしてからベックマンの書斎を見つけたらしく、ベックマンと共に書斎に入り浸り。
おれは海を眺めたくて見張り台に登った。
…そして何故か冒頭に戻る。


「ベンさんに訊いてもぴゅあとは私とミホークだと言ってるの」


ああ、なるほど。
まあ確かに二人ともピュアだな。


「意味がわかりません」

「んー、ぴゅあってのは…純粋なことだと思うぞ?」

「純粋?ミホークが?」

「鷹の目は置いとけ」

「…私が純粋?」

「そうだなー。…ちょっと来い」

「はい」


名前は何の躊躇いもなく寄ってきて隣に座った。…ピュアというか、警戒心が無さ過ぎる。
これじゃいつ何処でおれに…いや、誰かに襲われかねん。


「…そう、な?警戒心が無いのがピュアなんだ」

「警戒心が無いのは赤髪さんを信頼しているからです。赤髪さんはそんな人じゃありません」


ぐはっ…!!なんつーピュアな笑顔!直視出来ない。おれ、どうしよう。


「名前は純粋過ぎる!おれには眩しいぜ…」

「そうだろう、自慢の恋人だ」

「ああ本当に羨まし…ん?!」

「だからと言って手出ししたら容赦はせんぞ」

「…いつの間に入れ替わったんだよ」

「つい先程。因みに名前は書斎に行ったぞ」

「…そうか…つか、降りろ。此処狭いんだからよ」

「名前にはもっと近付けと言っていたではないか」

「そのセリフやめてくれ…寒気がする」

「そうか?…寒気といえば、名前が冬島に行ってみたいと言っていたな」

「そうなのか!ちょうど向かってる所だ。喜ぶだろうな」

「ああ、知っている」

「そうか。……ん?何で知ってるんだ?…まさか、行き先知ってて来たのか?!」

「…さあな」

「…お前…もしかして向かうのが面倒で…」

「!」

「ミホークー!ちょっと来てー!」

「む、名前が呼んでいるな」

「待て」

「待たん」

「オイオイ…あー…行っちまった…まあ、いいか…」


鷹の目のあの舟じゃ冬島はキツいだろうし、名前のあの軽装じゃ風邪ひきそうだしな。…まさか、これも計算済みか…?!








(ミホーク、この船冬島に向かってるんですって!)
(そうか、それは偶然だな)
(うん!楽しみだわ)

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