「ちょっとちょっと、ドンキホーテさん?!」

「ドフラミンゴ、だ」

「…ドフラミンゴさん、離して下さい!…ちょ、何で路地裏なんかに!」

「フッフッフ…!まだ、わからねぇか」

「何が…」


肩を押されて壁に押し付けられると同時に顎を捕まれ上向かせられた。


「っ…」


なに、してるの


「…んっ…!?」


なに、…して…


「んぅ…!」


力一杯押し返してもびくともしなくて


「っふ、んゃ…!」


口内を弄る舌から逃げても絡め捕られて


「んっん…!」


…たすけて…


「っはあ…ッ!やめ、…!!」


抵抗しようにも手首を掴まれて、…首筋にひとつ、赤いシルシが咲いた。


『…名前を離せ』


…ミホ…ク……



……………………………






「……ん」


…温かいものが頭を撫でてる。…なんだろう…?


「…目が覚めたか」


なんだ、ミホークか。久々に見…


「…ミホーク!?」

「何だ」

「えっ…あれっ?」


ミホークが、見下ろしてる。
頭を撫でてる。…ここは何処?

起き上がると抱き締められた。肩越しに部屋を見ると、宿屋だとわかる。


「…すまない…」


世界一の剣豪が弱々しく呟いた。


「…え」

「…奴がこの島にいるとはな…もっと早くに帰っていれば、」

「違っ…ミホークのせいじゃっ…私がっ…ごめんなさい…!」

「…名前」


名前を呼ばれて、口付けられて


「ん、ん…」


何度も啄むように、

ちゅ、ちゅ


「っ…」


唇を割って入ってくる舌も優しくてとろけそう。


「んん…ッ」

「…名前…」


少し枯れた声で呼ばれたらもう何も考えたくない…。












「あ、あ…っ!ミホー…ク、んぁ、もっと…ッ!」

「随分と積極的だな…っ」

「だって寂しかっ、やぁあ…!」

「…ふ、加減はしてやれんぞ」

「ぅあ、や、だめっ!あああんッ…!」

「っ…まだ、だ…」「ひ…?!あ、動いちゃっ…!」

「…名前」

「あっあッ!ン、ぁ…ミホーク、ミホーク…!」

「く…っ」


好きな香りに包まれて、私は意識を手放した。













「…今まで何処に行ってたの?」


気怠い体を布団に預けて問いかけてみる。


「…これを探していてな。探し当てるのに苦労したぞ」

「…なにこれ、箱?」

「開けてみろ」

「……これって…」


小さな箱の中にはシンプルな簪が入っていた。…簪?かんざし?!


「このタイミングは指輪でしょ!」

「?!…なんだ、気に入らんか」

「…や、違うけど…つい」

「前にその簪がいいと言っていただろう」

「前?…言ったっけ?」

「確かに言った。…何年前だったか…」

「…何年前?!そんな前なの?」

「…覚えていないのか?」

「…ごめんなさい」

「…そうか、まあいい…」

(あ、落ち込んでる)

「…明後日には発つぞ」

「…うん。…ミホーク」

「…なんだ」
「…ありがとう!」

「!」




待ってたよ



(…覚えていぬのにありがとうか)
(根に持ってる!)
(…寝るか)
(……ミホーク、言った私が覚えてないことなのに、覚えててくれてありがとう)
(! 名前、)
(おやすみ!)
(待て寝るにはまだ早いぞ)
(先に寝るって言ったのは貴方です)
(前言撤回だ。…おれのマークも増やさないとな)
(ッ…?!あ、ねぇ!何で覚えてたの?)
(…初めてねだられた物を忘れるわけなかろう)
(…そうなんだ…よく探し当てたね…)
(あの時は髪がまだ短かったから買ってやらなかったが、こんなに時間がかかるなら買っておけば良かったな)
(…なんか気になる言い方だね)
(そうか?)
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