買い物をしていると、急に手を掴まれた。誰かと思って振り向けば、眩しいピンクの見慣れた男が立っていた。

「…離して下さらない?ドフラミンゴ」
「フフフフッ…!断る。今日こそはデートに行こうぜ?お嬢チャン」
「断る。離して」
「デートしてくれるなら、離してやってもいいぜ?」
「…デートをせずに離してくれるなら助かるのですが」
「…お嬢チャン、おれの能力は知っているだろ?」
「一般人に能力使うなんてひどいわ」
「お嬢チャンにだけは使わねぇよ。だからこうして手を掴んでるんだ」
「…貴方なりの優しさですね」
「フッフッフッフ…!」
「……そうですね、ちょっとくらいならデートをしてもいいかな」
「そうか!それじゃァ、早速ホテルに」
「前言撤回!!」

撤回と言っているのにドフラミンゴは手を引っ張って街の外れに向かって歩く。何を考えているんだこの人は…!

「ちょ…待っ…早っ…!」

ドフラミンゴの歩調に合わせて小走りになったせいか、息も切れてきた。
必死になって腕に掴まれば、フフフ!と嬉しそうに笑う。

「笑いごとじゃな…っ」
「静かに」
「!?」

低い声で呟いた彼を見上げる。

「…気付いてねェのか。お嬢チャン」
「な…なに…」
「此処一週間、狙われてたんだぜ?」
「…は?」
「おれと接触したせいだ。…安全な場所に連れて行ってやる」
「…え、話が飲み込めないんですけど」
「いいからついて来い」

顔は相変わらず笑みを浮かべているけど、有無を言わせないような迫力で…大人しくついて行くことにした。

行き着いた先はこの島でも有名な高級なホテルだった。

「…ホテルって」
「フッフッフ…!何勘違いしてるんだ?」
「!」
「此処におれの名前で部屋を取ってある。部屋は防弾ガラス。ホテルの従業員は買占めてある。それと、お嬢チャンは体験したことないようなVIP待遇を命令してある」
「……え…え?なに、なんで」
「好きだからに決まってんだろ?」

顎を掴まれて意外と優しいキスをされた。頭が真っ白になる。

「ドンキホーテ様」
「ああ、コイツだ。案内してくれ。おれは少し出てくる」
「何処に…?!」
「心配か?フッフッフ…!嬉しいなァ」
「……そういうことにしておいて」
「ちょっとした掃除をしてくるだけだ。大人しく部屋で待ってな、お嬢チャン?」

そう言うとドフラミンゴは私に背中を向け、ひらひらと手を振って出て行ってしまった。従業員にお姫様のように案内され、部屋に着くとすぐに鍵を閉めた。

「…はあ…」

溜息をついて、頭の中を整理してみると余計わからなくなった。

「…あー、だめ。考えると混乱する。…こんなに大きいベッドなんだし、寝ようかな!」

大人四人くらいは眠れるんじゃないかってくらい大きなベッドにダイブすると、すぐに眠気が襲ってきた。…ドフラミンゴ…無事に帰ってくるよね…?帰ってこなかったらデートなんかしてやんないんだから!

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