「なまえちゃん!」
「…トニーさん、!こんにちは!」
太陽みたいな笑顔で私の名前を呼んだのは、最近知り合ったアントーニョさん。出会いのきっかけは確かトマトだった気がする。
「それより何でそんなに土まみれなんですか?もしかして…こけた、とか?」
「違うでー、今さっきまで畑におってん」
「畑?」
そうやで、と土のついた顔でくしゃっと柔らかく表情を作ったトニーさんは、思い立ったように私を畑へと誘う。
別に急ぎの用事なんてないし、畑なんて小学生以来あまりお目にかけていないしいいのだけども、パンプスで畑に入ったら畑が荒れてしまうのではないかと心配だ、
「…あ、そやななまえちゃんパンぺス…やったな」
「ははっ、トニーさん、パンプス、ですよ」
「へっ?!そうなん?わー恥ずかしいわあ」
そう言って恥ずかしそうに頭をかくトニーさんは再度私の足元を見たかと思えば突然私に背を向けてしゃがみこんだ。…状況が掴めない。
「…トニー、さん?」
「乗り」
「いや、でも」
「なまえちゃんにトマト、見てほしいんよ、」
でもなまえちゃんのパンプスが土で汚れたりしたらあかんから、と畑じゃなく私のパンプスごときを心配してくれた彼の好意におされ、おそるおそる彼の背中へと乗って畑へと歩いていった。駄目だ、慣れないから心臓がばくばくいってうるさいや。
「…ほらっ!なまえちゃんトマト!親分自家製!」
「わ、綺麗な赤…!」
「ふふ綺麗やろ」
「はい!…きっと、作ってるトニーさんが優しいから、トマトもこんなに綺麗なんでしょうね」
「…、ありがとうな、」
そう笑うトニーさんの顔はあまり見えなかったけど、きっと、優しい顔をしているんだろうな。
→おっきいトマト!
(まっさっかの長文しかも真面目な文章突然恐れ入りませんすみません←優しくてほのぼのした親分、好きです。)
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