「…トニーの、っばかあ!!」
「知らんわ!なまえが悪いんやろ!」
「っもう知らない!トニーなんかだいっきらい!!」
「ああ、ああ俺もなまえなんかだいっきらいや!!」
壮絶な喧嘩をした。きっかけは今考えたら本当にしょうもないことだった。それなのに、こんなになるまで発展してしまったのはきっと、お互いが一歩もひかないからなんだろう。私たちは変な所で似てるんだ。
「…あーあ、」
いつも近くにいた彼は今はいない。会う度に嫌味ったらしく言い合っては、互いに気分良く去っていく。周りからみたら良い喧嘩友達らしい私たちは本当に喧嘩してしまった。
誰もいないこの空間で、はあ、と思わずため息がこぼれてしまった。寂しいわけじゃない、会いたいわけじゃない、別に、そんなんじゃないと言い聞かせてはまたうなだれる。
(息苦しい、…外出よう)
「…」
「…っあ、」
「?…げ、」
外の空気を吸おうとドアから出れば偶然かなんなのかわからないけど近くのドアも同時に開いた。そこに居たのは久し振りに会ったトニーだ。げ、とだけ言って急いでまた室内へ入っていく。ドアを閉めようとひいたのだが、閉まらない。
「…」
「…何」
「…」
「私のこと嫌いなんじゃなかったっけ」
「…そっちもやろ」
「…」
ドアが半開きのまま、沈黙が続いた。ああもう一体何なのむかつくむかつくむかつく。…そうやって強がっている自分が、一番むかつく。
「…トニー」
「…何やの」
「ちょっと言いたいことがあるんだけど」
「こっちもあるわ」
「じゃあ先どうぞ」
「なまえから言いや」
「…同時に言って」
「は?」
「せーのっ!」
「え、なっ?!」
→嫌いにならへんで、
(…ぷっ、あははははっ!)
(なっ、ずるいわなまえ!何で言わんのんや馬鹿!)
(はははっ、ばーか!)
(ツン親分。違和感がありすぎて怪しいもそもそ)
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