丹羽と藤堂
 丹羽長正+藤堂高吉


※意味不明



ねぇ、私は誰の子何処の子ですか



「自分では、何だと思ってるの?」
「それは…長秀父上の子で、そして――」

羽柴の、いや、今は藤堂の子だろうか。

隣に立つ兄と同じ目を持ち、水面に映るこの姿は正しく丹羽の血を体現していた。
父を知る人は誰もが口にした。「父上の丹羽長秀殿にそっくりですね」と。何と答えていいのかわからなくて、いつも笑って誤魔化した。

「それ以上に何が必要なの?」
「え、」
「仕えるべき家?主?それとも、独立でもしてみせる?」

兄の意図が掴めなくて首を傾げれば左手がぽん、と頭に置かれる。ふにゃふにゃと柔らかく笑う兄はやはり同じ目をしていた。

「それだけあれば、居場所はあるから」

「どんなに名前を変えようと、どんな地位になろうとも、高吉は僕らの兄弟だよ」

自分が何のために居るのかわからなかった。ただの道具で、ただの身代わりで、ただの荷物だと思ってた。
でもそう、仮に帰る場所は無くなっても還る場所はここにあるから。

「いつでも帰って来たらいいさ」
「正兄…!」

久しぶりの兄に思わず飛び付いた。重兄もここに居たら良かったのに、きっとまた呼び出しでもされているんだろう。
あの人も随分と暇なものだ、何をするにも露骨だし卑怯。そんなことしたって何も戻らないのに。

本当はあの人は、私の似た父が欲しかったのだから。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -