豊臣と丹羽と加藤
豊臣秀吉+丹羽長重/丹羽長正+加藤清正
※相変わらず突発文
「弟の方が、面白いもん見れますえ」
「殿下もよく知るもんやと思わはるから」
そう言ってあいつは逃げた、と思っていたのに。
「…確かになぁ」
目の前で清正相手に長巻を扱う人間は、所謂陪臣なのだが見覚えはある。あるというよりは、彼の父をよく知っているという方が正しいだろうか。
「あいつが鬼を継いだのか」
彼がひらりひらりと立ち回る度に、それに伴い右袖がはためく。右腕が無いのにそれを感じさせないくらい上手くあしらい、なおかつ返してみせる。
太刀筋はほとんど同じ。見慣れたものだった。
「丹羽、長正と言ったか」
「そうだけど、何か?」
「片腕でよくそんなに扱えるな」
「父の真似だよ。全部ね」
気を抜いたら殺されてしまいそうな、そんな目だった。