徳川と結城
 徳川秀忠→結城秀康


「あ、あの、兄上っ…」

誰が何と言おうが私にとって兄上は一人で、父がいくら兄を嫌おうとも私は兄を好いている。憧れているんだ。

「秀忠…別に無理して兄と呼ばなくていい」
「無理なんて…」
「秀康でいいんだぞ?」

わかってる。兄上はもう自分が徳川の人間じゃないからそう言ってるんだ。
繋がっているのは半分の血だけ。それだけが私たちを結ぶ。

「わ、私には、兄上は秀康兄上だけです…!」

「だから…そんなこと言わないで下さい」

ほら、こんなこと言ったらまた兄上を困らせる。どうしたらいいかわからなくておどおどしてしまえば、兄上は小さくため息をつく。
怒らせてしまっただろうか、呆れさせてしまっただろうか、見放されてしまうだろうか。

「…悪かった、秀忠」
「え…」
「お前が俺を兄と慕ってくれるのは、嬉しい」

くしゃくしゃと軽く私の頭を撫で、不器用に笑う兄上。
あぁそんな貴方が好きです、憧れています。私は貴方の背を追いかけるのです。



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