丹羽と上杉
丹羽光重+上杉綱勝
「噂には聞いてはりましたけど、ほんに白いんやなぁ」
米沢の歴代当主は、雪のようなんだよ。
父も叔父も、皆がそう言っていたからいつか会ってみたいと思っていた。
「そんなことありません、ただの光の加減でしょう」
彼はそう謙遜するけれど、本当なんだなぁ、とただただ感心するばかりで。
丹羽も元から雪降る陸奥の人間ではないが、上杉は屈指の豪雪地である越後の出である。ならばその雪のように白いのも必然と言えるだろう。
「そういう左京大夫殿は、綺麗な目をしてらっしゃいますね」
「え、あ…赤いの、やろか…?」
「珍しいなぁ、と」
赤い目はこの身に流れる血の種類を表す。丹羽の人間なのに、薄くも混じる織田の血。
織田こそが、我ら丹羽の主である。と言ったのは、祖父だ。
「これは織田の血や、播磨殿」
「織田、ですか…」
「あんさんからしはりましたら、なんや憎いもんかもしれまへんなぁ」
首を傾げる彼に、自分は笑って誤魔化した。