豊臣と松平
 豊臣秀頼+松平忠輝


※だらだら長くなってしまった結果よくわからない



「…私は、どれだけの犠牲の上に立つ存在でしょうか?」
「何だい唐突に」

秀頼は自らの手を見つめ、忠輝にそう告げた。

「私が生まれたことにより、父は変わられたと聞きます」

秀頼とそう歳の変わらない忠輝も、そのことについては耳にしたことはあるがはっきり目で見た訳ではない。ただ知っている者は言う、以前と変わった、と。

「まずは秀次兄上を、先の関ヶ原の後には秀秋兄上を亡くし、秀家兄上も流罪とされました」

自分とは血縁関係の無い、表面上だけの兄弟であった養子にもご丁寧に「兄上」と付ける辺りが秀頼らしいな、と思った。
周りがどう言おうと秀頼は兄達を好いていたし、兄として扱いたかった。それによって胸に空いた穴が埋まる気がしたから。そして忠輝はそれに準ずる存在だった。

「果たして私は、そのような犠牲の上に立つような人間でしょうか?」
「…さぁ?わからないね」

秀頼も忠輝も立ち位置は違うが、一国の主として誰かの命を背負って生きなければいけない。正直言った話、一々そのことばかりに気を使っていては持たない。

「でも覚えていた方がいいよ」
「何を…?」
「君を守りたいと心から思っている者が居る反面、君を心から憎くて殺したいと思っている者も居る。ってこと」

目を見開き、秀頼の表情が一瞬凍り付く。

忠輝は正室の五郎八姫にも、義父の政宗にも、家臣の花井にも大事にされている。忠輝の思うように生きればいいと、多少の我儘も許してもらえている。
だが忠輝の異母兄である秀忠だけは、忠輝を早く亡き者にしたくて刺客を放つこともしばしばある。秀忠にとっては忠輝は邪魔者でしかなかった。

「忠輝殿は、」
「死なないよ。五郎八の為にも」
「私も千の為に、何かをしてやれる人間になりたい」
「大丈夫」

「千は幸せではないかもしれない、でも不幸せではないんだよ」
(でなければ、あんな風には笑わないさ)



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