伊達主従
梵天丸→片倉小十郎
「行くな」
「ここに居ろ」
離れて行く手を追いかけて、掴まえて、引き寄せた。
優しく頭を撫でて、ぎゅうと抱きしめてくれる。欲しい言葉をほら、いつだってくれるから。
「ここに居ますよ」
表情に色は無かったけれど、言葉は本物だった。
「小十郎」
「はい」
「梵天には小十郎が必要だからな」
それが今の、精一杯の言葉だった。
だからお前が笑えるように努力しよう。
お前が悲しまないように全力で生きよう。
お前が戦わなくていいように、自分がこの世界を変えよう。
出来ることなら何だってしようじゃないか、それぐらいのことを自分はしてもらったのだから。
「…はい」