徳川と上杉
徳川家光→上杉定勝
※09MRパロ
※意味不明
「さ、さだたつ殿っ!」
「……誰、ですか?」
カタン、と空になったコーヒーカップを置いた彼はゆっくりと首を傾げた。そしてその口から零れた言葉は、あまりにも残酷だった。
「え…?な、何、言って…」
「生憎だけど、貴方のことは知らない」
首にマゼンダカラーのトイカメラをかけ、写真館を出ようとした彼の腕を、掴まえる。
「家光…徳川家光」
「知らない」
「我は自分のことも知らない」
驚愕の事実に思わず手を離せば、彼はトイカメラのシャッターを静かに切る。
「だから世界を撮り続ける」
「自分の世界を見付けるために」
彼はもう、自分の知っていた頃の彼じゃない。それは嬉しくもあり、悲しくもあった。