長尾義兄弟
長尾景虎*長尾政景
※某ゲームの景虎とうちの政景
「私には、貴方のような魅力も、取り柄もない」
「何を、言っている」
政景の長い髪を掴み、景虎はゆっくりと唇を寄せる。
景虎は自分が嫌いだった。戦を嫌うのに、戦の中でなければ必要とされない自分が大嫌いだった。
「政景殿…どうか、私の傍に居て欲しい」
「私が戦に出て、ここを留守をしている間に……上田に帰らないで?」
子供の、わがままのようだった。
そんなことを、景虎は泣きそうな顔で告げるものだから、政景は頷くことしか出来ない。
「わかった。ここで待っているから…その代わり、無事に帰って来てくれ」
政景も本当は景虎を戦に出したくなかった。
戦から帰って来るとほぼ確実に景虎は体調を崩すし、何より景虎自身が戦を嫌っていることを知っているから。
「怪我のひとつでもしたら承知しない」
「厳しいことを言うね」
「当分口も聞かないし触らせないからな」
「えぇっ、それは困るなぁ…」
手を伸ばし、さらさらとした景虎の金髪に指を絡める。そして政景は景虎を思い切り抱きしめた。
「嫌だったら無傷で早く終わらせるんだな」
「…努力するよ」
口付けしたい気持ちを必死に抑え、景虎は政景を抱き返した。息苦しいくらい、強く強く。