松木と上杉従兄弟
 松木秀貞→上杉定勝+上杉季信


※かなり突発文



「定勝様っ、」
「秀貞…?」

可愛いからぎゅーと抱きしめてついでに口付けも落としてやる。
帰って来たばかりの主を堪能している横から鋭い視線を向けられていることに気付き、ゆっくりと声をかけた。

「どうしたんですか?」
「いえ、」
「秀貞っ、気が済んだなら離してくれ」
「えー」

またぎゅーと抱きしめて、仕方ないから手を離す。まだこの人には仕事があるから。

「そういえば周防殿が呼んでいたよ」
「清が?わかった、行ってみる」

ぱたぱたと部屋から消えていく主に手を振り、未だに鋭い視線を向けて来る彼の方へ向きを変える。

「ねぇ主計殿、何故定勝様は俺が何しても許してくれると思う?」

抱きしめても口付けをしても、何をしても大抵のことは許してくれる。意外と近い所まで入らせてくれるのは、何故か。

「さぁ?私にはわかりかねます」

主の従兄弟であるが故に上杉の名を貰い、公家の身分から一気に主に近付いた彼がある意味羨ましい。
彼は俺のことを嫉妬の目で見るかもしれないが、そんな優しいものじゃない。これは酷い嘘だ。

「直江殿に似てるからだよ、山城様の息子の方」
「景明、殿ですか…?」
「そ、定勝様は無意識だと思うけどね」

無意識に自分に他人が重ねられる。自分は主が好きなのに、見ているようで見てもらえない。
ああ苦しい…!それなら彼の方が、ずっとずっと有利で幸せじゃないか!

「内匠殿は――」
「主計殿も定勝様のことを本気で好いているなら覚悟した方がいい」


「本当の好敵手は、直江平八景明殿だ」

見えない、主の記憶の中に色濃く残る人と戦うには並大抵の覚悟じゃやっていけないだろう。
彼の人が生きていたら、状況は少しくらい好転しただろうか。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -