織田主従
織田信長*丹羽長秀
掴んだ首にはそうだ、きっと枷をはめたらよく似合う。赤がいいか、青がいいか、はたまた緑や黒がいいだろうか。
俺の声だけを聞き、俺だけに従う完璧な狗。
「五郎左、」
「はい」
「貴様、神はいると思うか」
「えぇ、もちろん」
「やてうちの目の前にいてはる、信長はんが神様やもの」
さらりと、いつも通り綺麗に笑いながら言いのける台詞には僅かに驚いた。だがよく考えればそれは過去に教えたことだ。
俺が神だ、だから俺だけを敬い奉れ。
確かに、そう言った。
「貴様には愚問だった、か?」
「この首も全て、信長はんのもの」
噛み合わない会話。ミシリと何かが軋む音がした。同時に沸き起こる衝動を必死に抑える。
折ってしまいたい壊してしまいたい殺してしまいたい。
どれも、一度しか楽しめない。だからいつか訪れるその時まで楽しみに残しておこうか。
(俺が死ぬ時に、こいつも連れて行こう)