将軍と六人衆
徳川家光+六人衆
「家光様、本当に三人で良かったのですか」
「ま、長四郎なら確実に虫の一匹も逃がさないな」
「甚太郎と新六郎もいるんだ平気だろう」
向かうは肥前原城。抗うは農民を含めた切支丹。これを鎮圧するは江戸幕府軍。
「本来なら長四郎が行く必要も無いんだ」
「先発隊は既に出てますもんね」
「徳川幕府の恥だな」
九州の諸大名も含め、幕府はこの一揆鎮圧に相当の兵力を動員している。それなのに未だ一揆は続いている。
先に向かった板倉の指揮力の無さに誰もがうんざりし、次の司令官を望んだ。その結果名代とされたのが松平信綱だった。
「決定は、覆らない」
「切支丹は全て、殲滅する」
家光のいつもより低い声が部屋に響く。加えて常より滑舌が良いのは家光が容赦なく全てを切り捨てることを意味していた。
「この国に余所者の神は要らない」