松平と雨宮
 五郎八姫+雨宮次郎右衛門


※上の続き的な



「ただの手代に護衛を頼むなんて、鬼っ子様くらいですよっ…!」

振り下ろされた刀を受け流し、雨宮は相手を容赦無く切り捨てる。その動きに従って背後に構える才兵衛も、部屋全体を見ながら即座に行動に移れるよう待機する。
雨宮は忠輝のことを相変わらず「鬼っ子様」と呼ぶが、そこに悪意は無いから忠輝も気にしない。

「でも上総介様がよくお二人のことを話しているから、よっぽどお気に入りなんでしょうね」

忠輝が気にしないから五郎八も咎めない。本人が許しているのだからそれでいいのだ。
くすくすと笑う五郎八の後ろには竹が控え、これまた得物を構える。

「それにしても、秀忠公もお暇なんですね」
「姫、」
「だって上総介様お一人にこんな必死になるんですもの」

正直、五郎八は相当怒っていた。
何もしていない、誰にも危害を及ぼしていない忠輝に対し秀忠は何故こんなことをするのか。
直接会って一発頬でもぶってやりたい心境だった。

「…今ので最後だと思います」

竹が得物をしまい、雨宮が五郎八に駆け寄る。才兵衛は屋敷一帯を見回りに部屋から姿を消した。

「五郎八姫、怪我は?」
「竹ちゃんもいるのだから、当然何もありませんよ」
「そうですか、ならば安心です」

三人で笑い合ってしばらくした頃、見回りに出た才兵衛と城に呼ばれていた忠輝が一緒に帰って来た。
忠輝はいつも通り、カラリと笑っていた。



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