徳川と松平
徳川秀忠+松平忠輝
※意味不明文
呼びつけた憎らしい弟は、恐ろしいほど綺麗に笑って喋り始めた。
「…秀忠兄上、残念でしたね」
可愛いとでも思っているのか、小首を傾げにこにこと笑うのが気味悪い。
「何がだ」
作戦は順調に進んでいるはずだ。
今頃こいつの大事な妻を捕らえ(もちろん手荒なことはしないが)彼女を脅しに使いながらこいつをこの地位から落とす。流罪、死罪、何がいいだろう
今日この弟を呼んだのははっきり言って父だ。この場に呼んだのは自分だが、最初から全て仕組んだことではない。
「五郎八は渡しませんよ」
「お前の奥方が、何か…?」
一応表情としては笑っているが、目が笑ってはいない。本気で、こちらの真意を知った上で話しているのだろうか。
だがこのことを知るのはごく一部のみ、知るはずがなかった。
「今日は優秀な護衛をつけているんです、そう簡単にはいかないでしょう」
小さく頭を下げ、一瞬で部屋から消えた鬼子。
作戦の結果を受け取るのは、もう少し先の話だった。