伊達主従
伊達政宗*片倉小十郎
前を向いて、進めばいい。
その言葉に甘えていたから、お前のことを見てやれてなかった。言われた通り、前しか見えていなかったんだ。
だから気付いて振り返った時にはもう、ぼろぼろで倒れる寸前の傷だらけだった。その姿を目にして、やっと歩いて来た道の残酷さを認識した。
「これが、今、までの…」
「…あ、なたは…悪…ない、」
「だがこれは…っ!」
触れた手の冷たさ、赤く染まる腕、それでも笑うお前が辛かった。
まだ失いたくない
まだ一緒に居たい
まだ、
愛して愛されたい
掴んだ腕は、よく似た別物だった。