上杉主従
直江景明*上杉定勝
※さっぱり意味がわからない
「貴方は、その血から逃れられない」
押さえつけた小さな主は、私の言いたいことがもうわかっているらしかった。手を添えた首は白く、力を入れれば簡単に折れてしまいそうなくらい頼りなく、見えた。
でもこの主は何だかんだといって強いから、一息に死んではくれないだろう。
「知っている」
「その所為で苦しむかもしれない、傷付くかもしれない」
「平八、」
「お前も背負ってくれるのだろう?」
ふわりと柔らかく笑うのが堪らなくて、噛み付くように口付けた。
(貴方は狡い、こんな現実を突き付けられてもそんな風に笑うのだから)
「…当たり前、じゃないですか」
「ならば余計心配しなくていいだろう」
『平八が居れば何も問題ないのだから』
小さく小さく、囁くようにして出された言葉は危険だった。少しずつ何かを崩していく。
もしその血が呪いなら甘んじてそれを受け入れよう。貴方が悲しまないようにする為なら何だってしてみせよう。
後はそう、邪魔な豆狸を消せば完璧。
「喜平次様、」
「喜平次様、」
「…どうしたのだ…?」
「特別扱いして下さい、この景明だけは別だと」
何だってする。血から逃れられないなら同じ道を歩く。
だから、貴方の中で特別な位置に置いてはくれないだろうか。
冷たい手が軽く私の首を掴む。そうして、主が笑った。
「平八は欲張りだな」
「そうです」
「こんなにも我の中に入っておきながら、まだ先を望むのか」
(えぇ私は傲慢で欲張りで独占欲の激しい最低な人間です、だからもっと貴方が欲しい)