徳川と保科
 徳川家光+保科正之


※設定がよくわからない



「幸、殺すな」

いつもより低い兄上の声、それを聞いて振り切ろうとしていた刃を止め、そのまま鞘に納める。その瞬間ひとつの銃声が鳴り響き、先程まで相手にしていた男が地に向かって倒れる。
すかさず膝をつき頭を下げれば兄上がひらひらと手を振る。

「ももう一度、幕府に尽くすか、それととここで蜂の巣になるか」
「…それ以外は?」
「幸に斬られれのみ」
「ふざけるな」

またひとつ、銃声が響く。今度は反対の足を狙って。
兄上は優しい。一息に誰かを殺すことを滅多にしないのだから。でも兄上の大好きな上杉が絡むと、その時はどうなるかわからない。あと権現様が絡んだ時も。

「返答、は?」
「そんなこと出来――」
「幸」

声がした、だから斬った。意味の確認はしなかった、わかっているから。

素直に謝れば兄上はこの男を一度だけ許しただろう。でも禄は減らされるし地位も危うくなる。
それもこれも兄上を裏切ろうとしたからだ。

「相変わらず、幸はややいな」
「いえ」

「…そういえば長四郎が幸のここ探してたみたた」
「伊豆殿が?」
「肥後って言ってたらら幸らと思う」

だから早く帰ろう、そう言って兄上は僕の手を取り少し前を歩き出した。嬉しそうに軽く鼻歌まで歌って。
兄上がそんなことをするものだから、僕は思わず笑ってしまった。



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