織田主従
 織田信長*丹羽長秀


※SSパロ



ずるずると引き込まれそうになるのを耐えているのは大層辛いだろう。手放してしまえばすぐなのに、ねぇ?

「残念だな」
「化け物、屋敷…!」
「それはまた違うんや」

セキュリティは特殊、住める人間も特殊、似た者同士が集まる高級マンション。
非力な強盗なんて力を使えばすぐに追い払えるのだが、意地の悪い主はそれを許さない。

「お前も狐に化かされてみたいか?」
「何、言って、」
「見てみはります?」

タン、と足をひとつ鳴らせば一人二人と自分が増える。正確には全て幻影でしかないのだが、それでも十分効果的だったらしい。気が付けば不法侵入者は呆気なく気を失っていた。
ひとつ小さな溜息をつき、振り返ろうとすると後ろから抱き付かれてしまう。

「つまらないな」
「普通の人は増えたりせぇへんから、当然やあらしゃいますやろ」
「少し勿体なかったか」
「うちは、鬼に喰われるよりはぁましや思いますけど?」

鬼に喰われるのと比べたなら、狐に化かされることのなんと可愛らしいことか。それもこちらからは一切手を出していないのだ、勝手に相手がやって来て勝手に倒れてしまった。

でもきっと、次にこの人が目を覚ましたら全てを忘れているだろう。あるいは、全て夢だったと錯覚するだろう。
恐らく人間にとっては真実でなくともそれがいいことなのだ。



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