保科
保科正之
兄上は僕を見付けてくれたんだ。
日の当たらない陰の世界を生きていた僕を、陽の世界へと導き出して必要としてくれた。
決して陰の世界が嫌いだったわけではない。何であれ養父には感謝していたし、母のことも好きだった。
でも兄上は別格だったんだ。
「幕府に楯突くような者はこの家には要らない」
「この家を犠牲にしてでも幕府を守るんだ」
だから兄上の為なら僕は自分の家を捨てるよ。逆に兄上が必要だと言うならずっと残そう。
幕府に従順で、忠実な手足になろう。間違いがあればそれは他の者が諫言するだろうから、僕はただ貴方に従い続けよう。
兄上の愛する六人衆は、兄上を太陽だと言っていました。
その文字通り、兄上は僕の太陽です。