保科と上杉
 保科正経→←上杉綱勝


触れた義兄の手はいつだって冷たかった。それを告げれば、こればかりは遺伝だから仕方ないと苦笑された。

他の兄弟より媛姉と似てる所為か、彼は僕を可愛がってくれた。だから勝手に近くにいても何も言わなかったし、寄りかかってみたり手を繋いだりしても拒絶されなかった。
僕にとっては紛れもなく兄だった。

「綱勝殿が欲しい」
「それはまた唐突だね」
「…少し、言葉が足りませんでした」
「何が?」
「綱勝殿が兄に欲しいです」
「一応兄だろう?義理の」

確かに媛姉の旦那さんなんだから僕の義兄なんだ。それはもちろんわかってる。
でもね、もう少し近付きたいんだ。媛姉を経由した関係じゃなくて、貴方に直接繋がる何かが欲しい。

「綱勝殿が好きです」
「うん」
「貴方はどうなんですか?」
「正経殿は好きだよ」

貴方の好きはどの好きなんだろう。
それがわからなくて酷くもやもやしていたけれど、僕はその時まだ言葉の意図を理解出来ていなかった。



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