小早川家
小早川秀秋+四家老
※パロ、というかとある設定での話
呪われた記憶能力は、皆を傷付けてしまう。長い間記憶を保持することが出来なくて古いものからどんどん消えていってしまうのだ。
消えて欲しくない、忘れたくない人のことだって。そう自分を生んでくれた親も、育ててくれた親のことももうわからない。
「秀秋様っ、無理しないで下さい…」
「また、倒れてまうで?」
確かに無いものを探そうと頭を必要以上に回転させると負担が大きすぎるらしく、体の方にも無理をさせた影響が出る。
でもきっと忘れてはいけない人だったんだ。一枚の紙に書かれた名前に、何かが疼く。
「…この前も、倒れたばかりじゃないですか」
心配してくれる家老達の声に笑って答える。しかしこれだけは諦めてはいけない気がしてならない。
誰なんだろう。丁寧に朱色で線まで引かれ、紙に書かれたこの名前の持ち主は。
「ねぇ、君は…誰なの?」
奥州伊達の人間。それはわかる、紙に書いてあるから。
だが生憎知りたいのはそんなことじゃない。この人は、自分とどんな関係があったのか。それが何より重要なのだ。
「――…片倉、重綱」
君に会えば何かわかるかな…?
「貴方が望めば、すぐ連れて来れるのに」
(そうしないのは貴方が優しいからだ)