上杉家
 上杉景虎→上杉景勝中心


※09大きな河6話的な



口論が始まろうとしたその直前、声がした。兼続はびくりと背を震わせ己が主を探す。

「どっちが、なんて争わないこと」
「くだらない」

話中の中心人物である養子二人が揃って現れたことに、その場にいた誰もが驚きを隠せなかった。隠せなかったし言ってしまったことに焦りを感じていた。

「俺らに甲乙付けるなんて意味がないよ」
「う、ん…?」
「こんなにも仲がいいのに」

この義兄弟の仲が良いことは上杉家中で知らない者はいないほどだった。というより景虎が一方的に景勝に対して好意を寄せており、若干景勝がそれに流され気味なのだが。
今現在もそれぞれの家臣が居る真っ只中で平然と、むしろ綺麗に笑ってみせながら景虎は景勝の手を取りあまつさえ指を絡める。

「大体、喜平次のことを悪く言う奴は、ここで消えたい?」

その綺麗な顔をした景虎が、さらりと恐ろしいことを言ってみせる。辺り一帯の空気が一瞬にして凍りついたのを感じない者は居なかった。
それを知ってもなお兼続がギリギリと拳を握りしめ、すぐにでも景虎に殴りかかりそうなのを周りが必死に押さえていた。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -